元活字中毒主婦の身辺雑記

日常の細々したことなど。

 『πの話〜岩波科学の本12』(野崎昭弘)*読書日記1

今年最初の一冊はこの本です。先日の日記に書いたように、子供時代に歯が立たなかった本。古本屋で入手したので大人になって再チャレンジです。

 

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著者は中学生に向けて書いたようですが、この内容がわかる中学生は相当優秀だと思います。数学が大の苦手な私は、第1章に出てくる「ヒポクラテスの月」を実際に作図をしてようやく得心できるレベル。この先読み進めていけるのか不安になりました。第1章にはギリシャの三大難問や「アルキメデスのスパイラル」の紹介もでてきます。

 

第2章では実際に実験を通して円周率を測ってみています。ひもと木切れで測ったり、自転車を使ったり、粘土で円を正方形化してみたり.....写真もふんだんで面白いのですが、「ビュッフォンの針」の実験が理解できずネットで調べたりしました。

 

第3章は「公理」について書かれ、ユークリッドの平行線定理やアルキメデスの円周率に関する考え方が説明されています。最後に「円周率おぼえ歌」の紹介があって、挿絵に見覚えがあり懐かしかったです。中学生だった私は、こういうこぼれ話的なところしか読めなかったんだろうなあと情けなく思いました。

 

第4章はデカルトの座標についての説明、円の方程式などがでてきます。ここはおてあげ。著者も、まえがきで「第4章は微積分学の解説がふくまれていて難しいので、おもしろそうなところだけ拾い読みしてかまわない」と書いています。とりあえず読みましたが、数式がわからないので、ほとんど内容が理解できませんでした。ただ、多くの数学者が様々な方法で円周率に取り組んできた歴史はわかりました。章末に円周率の計算競争の話が書かれていて「計算機による計算結果」という表が載っています。表の最後が「HITAC8800(日本)1974年 桁数105000 所要時間1時間52分」となっていました。

 

第5章は円積問題の結末が書かれています。「連分数と円周率」の理論が「その入り口だけをながめておきましょう」と書いて、さらっと紹介されています。当然、私には理解できませんでしたが「πは、有理数か?」「πは、適当な整数係数の方程式の解になるか?」を解決するために連分数が必要だったと理解しました。他に「ヒッピアスの曲線を使った円の長方形化」の説明もでてきましたが、こちらも「定規とコンパスだけで問題を解こうとする試み」の一つとして読みました。「リンデマンによってπが超越数であることが証明された」というところで章が終わりです。

 

第6章は「長さとはなにか」「無限について」「直線の長さ」「集合論」などが取り上げられています。また、中世の権威主義と科学の戦いにも触れ、「科学のありかた」について書かれた章です。

 

全体を通して様々な数式がでてきますし、内容が理解できない箇所も多々ありました。しかし、私なりに読み進める中で、多くの人が試行錯誤しながら思考を深め、その積み重ねによって問題が解決してきたことは実感できました。円周率を通して、数学の歴史や考え方、科学のありかたについて学べる本でした。もう少し数学について勉強して再度読み直したいです。その際には文庫版と比べて、どこが間違っているかもしっかり見直します。(この単行本には一部誤りがあって文庫版ではそこが訂正されているそうなので)

 

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岩波科学の本シリーズは全12巻だったようです。巻末に載っていたリストを書き出してみました。

1 関数を考える(遠山啓)

2 望遠鏡をつくる人びと(森本雅樹

3 たねの生いたち(西田誠)

4 ぼくらはガリレオ(板倉聖宜)

5 動物の生活リズム(森主一)

6 湖の魚(白石芳一)

7 地球をはかる(古在由秀

8 大地の動きをさぐる(杉村新)

9 数は生きている(銀林浩/榊忠男)

10 温度とはなにか(小野周)

11 ハチの生活(岩田久二雄)

12 πの話(野崎昭弘)

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数学は言葉―math stories

数学は言葉―math stories

 

 『πの話』は、数式が難しかったのとは別に、数式を説明する文章自体が読みにくかったです。これは私が読み物の文法に慣れ過ぎていて、事実を一つずつ厳密に定義していく数学の考え方になじめていないせいだと思います。数式の説明以外の本文はとても平易で読みやすかったですし。今年はせめて中学の数学、できれば高校数学の一部くらいは理解できるようになりたいです。とりあえず、次回読む本はこれかな? 少なくとも春までには取り組みます。この本も「今年こそは読む」といいながら数年たっています。いや本当に「今年こそは読む!」