元活字中毒主婦の身辺雑記

日常の細々したことなど。

祖父はフォーチュンテラー

ほんの短い間ですが、英会話のサークルに参加していたことがあります。(英検準一級二次対策のためです。英検の話はこちら)ある時、たまたま「名前」の話になりました。そこで「私の祖父は姓名判断をする人でした」と言おうとしたものの「姓名判断」を英語でなんというか分からず、「漢字の画数で、その人の運勢を判断する」ということを身振り手振りを加えて(実際に字を書いて手でなぞりながらone,two,three...と数えたり)講師に説明したところ、「Oh!  "Fortune-teller" 」と言われました。「え、フォーチュンテラー?」と驚いたけど、たしかに占いの一種ですよね。

 

祖父は専業の姓名判断士ではありません。というか定年まで普通のサラリーマンをしてました。たぶん趣味みたいなものだと思う....というと祖父から怒られるかな。「姓名判断は占いではなくて統計学だ」とか言っていたらしいし、かなりたくさんの方の名付けをしたようなので。

 

さて、姓名判断って画数が重要です。でも、結婚したら姓が変わる方が多いです。せっかく精魂こめてつけたバランスの良い名前が台無しなので、祖父は自分の娘には結婚後の姓に合わせて名前をもう一度つけています。つまり、うちの母には戸籍上の名前と通称があります。全然別の名前。例えば「典子」と「由美」くらい違います。私の父も「名前が悪いから改名しないと娘は嫁にやらん」と言われて(これって相当失礼な話だと思うのですが)「ああ、なんぼでも変えますよ」と結婚を機に改名。父の母も怒るどころが「私もいい名前つけてもらえます?」と新しい名前をもらったそうです。といっても全然使わず、私は父方の祖母の新しい名前が何だったのかも知りませんが。

 

父方の祖母は父を戸籍名、母を通称で呼んでいました。母は父を戸籍名で呼んだり通称で呼んだり。これは舅や姑への遠慮もあったのかな。父は母のことを戸籍名で呼ぶことが多かったような気がします。「俺が惚れたんは由美やなくて典子なんや〜!」(実際の名前は違います)とか酔っ払って叫んだことがあったので、実は改名が気に入らなかったのかも。母方の親戚は父も母も通称で呼ぶことが多かったですが、母の幼い頃の愛称を使うこともあったし......適当です。

 

こう書くとややこしいようですが、結構なんてことないのです。特にトラブルはありませんでした。学校に提出する書類に母の名前を書く際、適当に通称で書いたり戸籍名で書いたりしていたら、担任に呼ばれて「お母さんが二人いるの?」と聞かれたくらいです。母の姉妹も結婚を機に改名しましたが、ごく当たり前に呼び変え、年賀状も通称で出してました。

 

祖父が名前にこだわる人だったせいで、逆に私はこだわりがなくなりました。姓にも名にも。昔は相手によって呼び名を変えることもあったみたいだし、誰に対してもたったひとつの名前でずっと生きるという時代は、実はそんなに長くないのでは。詳しくないですが、武士には幼名がありましたし、明治期の人の経歴を見ていたら通称がよくでてきます。そういえば祖父は俳句をするために号で呼ばれることが多く、私が本名を知ったのはお葬式の時でした。

 

私が結婚する頃には祖父はもう死んでいたので、私に名前はひとつしかありません。もし生きていたらどんな名前を考えたのかなあと時々思います。

 

文庫 新版 指輪物語 全10巻セット (評論社文庫)

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うちの夫から私への最初のプレゼントは、この文庫本でした。同じ登場人物が複数の名前を持つのでややこしい。一巻目の最後数ページまでは読むのが苦痛でした。一巻最後数ページからようやく物語の世界に入れた感じ。投げ出さずに我慢して読んでよかった。二巻以降どんどん面白くなります。

 

追記

実は娘も二つの名前を持っているのです。

二つの名を持つ娘 - 元活字中毒主婦の身辺雑記